モデルによる積分線量の予測(北脇さん改良版)

北脇さんの新しい数理モデルによる結果

以前に紹介した岡山大学大学院保健学研究科の北脇知己さんが、さらに精度の高い数理モデル計算結果を報告しております。以前のものに比べて、半減期の長いCsなどによる放射線を考慮しているため、長期的に浴びる線量がより精度良く求められていると考えます。

前回の解析結果では、半減期8日のヨウ素を考えていたので50日で放射線量率はほぼゼロだったのですが、半減期30年のCs137が存在するために100日でも放射線量が残っている結果になっています。

福島市で100日以上たった後でも線量率が1.32μSv/h、飯館で3.07μSv/hと予想されています。もし、Csが地表付近にそのまま何年も留まっているならば、福島市では毎年約11.5mSv、飯舘村では毎年約26.9mSvを長年にわたって浴び続けることになります。ただし、放っておいても雨等によりCsは流れ出して減っていきます。作土内における滞留半減時間は水田作土で9~24年、畑作土で8~26年と報告されているようです。また、土壌の入替や除染を行う事でCsの量を減らす事は可能です。

宮城県は値が小さく気にしなくて良いでしょう。説明は飛ばします。浪江町付近の解析結果は、ポスト32で100日以上経過しても18.53μSv/hの線量率が予想されています。このままだと、今後、毎年162mSvの被曝が予想されます。これは早急に対処すべき値であると考えます。

今回の北脇さんの解析は、100日後あるいは数年後にどのぐらいの線量が残っているのかを、これまでの20日間程度の観測データーから予想したものです。20日間は100日後の値を予想するには多少短いのではないかと感じています。おそらく100日後の値の精度は良くても値の±50%程度ではないでしょうか。今後30日、40日と測定データを積み重ねていけばより精度が高まるでしょう。今後も継続した解析に期待します。

「モデルによる積分線量の予測(北脇さん改良版)」への8件のフィードバック

  1. 北脇@岡大です。
    早速の新記事のポストありがとうございます。
    ご指摘いただいたように、長期的な影響については今後も検討してみたいと思います。

  2. 今後の影響に関して大変重要な解析で、みなさん期待されていると思っております。よろしくお願いします。

  3. 50日が経過したので、以前の検討が正しかったがどうか、再解析しました → http://p.tl/6iLy

    結果:
    3/15の放出に由来する短期的な放射線の影響はほぼ収束した。
    現時点で放射線量が大きな地域では、長期的に大きな影響が残る。

  4. 50日後のレポートありがとうございました。前回の20日後の解析結果による100日後の推定値と今回のものとの誤差は10%も無いぐらいでした。±50%程度などといい加減な事を行ってしまった事を後悔しております。今後はこの値が続く物と考えられます。雨による流出や浸透により半減期30年よりも速く減少する事を期待したいところです。

  5. 福島の累積の放射線量が知れて、よかったです。
    やっと、信頼できる数字に会えました。

    息子の通う小学校でも、いろいろな場所で測ってくれました。
    4月25日ですが、校庭の50cmでは、2.5μSvでも、滑り台前の水たまりでは、6.9μSv、
    屋内では、入口から2m、高さ60cmの玄関内で0.18μSv、
    この日の最低値は、三階教室の中央部机上で0.09μSv。
    この日の最高値は、給食室前雨樋からのマス上で8.9μSv。

    今、学校から福島県産の原乳を使った牛乳を飲ませていいか聞かれて、迷っています。
    外部被ばくと内部被ばくも積算?と思って。
    その、外部被ばくは、3.8μSv/hを越えなければ、O.Kと言われても、
    それって、あのすごく放射線量の高かった時を含めてる?と思って。
    しかも、小学生用の地表から50cmなんて、測っていたの?と。
    だから、この数値はたいへんありがたかったです。

    妹が3月18日に生まれた赤ちゃんを連れて千葉に避難しています。
    呼び戻すつもりでしたが、???これも悩ましいです。

    これは、新聞などに載せる予定はないのですか?
    今、福島市民がホントに知りたい情報だと思います。
    危ないなら、危ないと言って欲しい。
    補償しろなんて、言わないから、正確な情報を!!
    と、前々から思っていました。

  6. hirokawaさま、お子様の安全を考えて毎日大変なご心労と思います。空間線量値の低いところに住む私が外から危険だとか安全だとか言うべきではないと考えていますが、内部被曝についてはコメントさせていただきます。
    空間線量の高い地域では、毎日の食事や飲料水からの内部被曝が問題になります。空間線量値の低い地域では食品汚染基準値付近の物を飲食しても一時的であると考えられるため問題ないのですが、空間線量の高い地域では基準値ぎりぎりではなく、汚染が基準値よりも十分低い物を摂るべきだと思います。汚染量をきちんと調べた物であれば福島県産でも問題ありません。汚染量をきちんと調べた物を摂る事が重要だと思います。

  7. 丁寧なご回答ありがとうございます。
    お礼を言うのが遅くなってすみません。
    こちらを覗くといつも大変参考になる情報を得られます。
    穴のアイデイアも文部科学省でも採用しましたね。

    買い物に行った先で、どの程度の汚染されたものかは、判断できません。
    福島産は、千葉産は?と思っても数字はどんどん変わるし、覚えられません。
    出回っているものは、大丈夫と信じるしかありません。
    ただ、自分の家のハーブは、今年は利用しないことにしました。
    ひっこぬいて、雑草と一緒に処分しました。
    庭の木のうこぎで、うこぎご飯をたべましたが、一回だけです。
    ただちに影響はありませんでした。hahaha…

  8. hirokawaさま、書き込みありがとうございます。最近は、本業の方が忙しく放射線関係の書き込みが減ってしまいました。各地から原発関係の正しい情報が得られるようになってきたことも書き込みが減った一因ですが、今後も自分で納得できない事やみなさんに知ってもらいたい事が出てきましたら書き込んで行くつもりですのでよろしくお願いいたします。

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