シーベルト(Sv)は重量(1kg)当たりの放射線の吸収エネルギー量を元にした単位です。ですから被曝線量を考えるときに、その人の体重や被曝した部位の重さを考える必要があります。以下のように外部被曝の条件や内部被曝では被曝の程度が変わります。
(1)一様に広がった放射線等による外部被曝
この場合は、例えば線量率100mSv/hの放射線を1時間浴びたとすると、1kgあたり100mSvの放射線を全身(全体重)が浴びたことになります。この値を実効線量と言います。重量当たりなので大人でも子供でも同じ値の100mSvになります。全身に浴びた場合、放射線の致死量は7,000mSvと言われています。100mSv以下では、健康絵の影響は殆ど無いと考えられています。
(2)近くの放射線源による部分的な外部被曝
24日に作業中に放射能の強い水に直接足を入れて被曝した作業員の被曝線量は、報道では3,000から6,000mSvと言われています。この値を全身に浴びてしまうとかなり重篤な障害が出ると思われますが、足だけだったのでやけど程度の症状で済むようです。(部分的に浴びた線量の事を等価線量と呼びます。)ちなみに作業員の胸に着けた線量計の値は170mSvでしたので、全身の被曝はその程度ということになります。
(3)内部被曝の場合
ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)の最後の方で実効線量係数が対象年齢によって異なると書きました。私も良く理解していなかったのですが、これは体重や臓器(甲状腺)の重さの違いに依存しているようです。例えば同じ300Bqの放射性物質を身体に取り込んだ場合、体重60キロの大人と30キロの子供では重量当たりの放射性物質の濃度が異なることになります。そのため同じ量(ベクレル)の放射性物質でも被曝線量(シーベルト)の値が異なるのです。また、放射線核種によって取り込まれ易い場所などが違うため、それらの因子(大人と子供での違い)によっても被曝線量が違って来ます。(ヨウ素の場合は甲状腺に取り込まれ易いので甲状腺等価線量という値が用いられます。)
質問お願いします。
被曝による被害の怖い所は、遺伝子を傷つけられてしまう事で(被曝量によって)時が経ってから現れてくるものなのではないでしょうか?
ですのでこの場合の作業員の本当の被害はこれから数年~数十年経ってからという私の見解は間違いでしょうか?
数人の原発作業員は、数十年経ってから突然ベータ線被曝によるやけどのような痛みが続く症状が現れているそうです。
ただちに影響はありませんという歌い文句の最たるものではないでしょうか?
今頃こんな質問して本当に申し訳ありません。
被曝の怖いところはおっしゃる通り時が経ってからガン等になる事だと思います。200mSv以上は明らかにがんにかかる割合が大きくなるという調査結果があるようですが、200mSv以下の場合は因果関係はグレーのようです。例えば放射線を浴びてない1万人のうち100人ががんにかかったとします。同様の条件で1000mSv浴びた人1万人を調査した場合、がんにかかる人の数が1.6倍になるという結果があるようです。増加量は線量に比例するようですが、200mSv以下で本当に影響があるかどうかを調べるのは難しいのです。1000mSvで6割増加ですので、理論的には200mSv被曝ではガンは1.2割増加。100人が112人になります。100mSvでは0.6割増加で、100人が106人になります。しかし、100人が106人に増えたとしてそれが本当に放射線の影響かどうかを調べるのは非常に難しいと思います。例えば、喫煙者のガンによる死亡率は非喫煙者の1.65倍であるそうですが、放射線の影響はそれらの他の発ガン要因に埋もれてしまいます。こういう事を書くと御用学者というレッテルを貼られるようですが、子供や妊婦でなければ100mSv以下ならば発ガンについてもそれほど心配する事は無いと思います。万が一、将来ガンなったとしても十中八九は放射線を浴びていなくてもかかったものと考えられます。浴びない方が良いに越した事はありませんが、少ない放射線量のリスクを過度に心配する事はありません。
ガン以外の時間が経ってから症状については、勉強不足で分かりません。数十年経ってからのβ線被曝のような症状については、部分的に急性症状がでるほどの高い線量を浴びたのではないかと思われますが、よくわかりません。