ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)

(ここでは体全体への影響を表す実効線量への変換を議論しています。)

ベクレル(Bq)は、1秒間に崩壊する原子核の数を表す物質の放射能の単位です。シーベルト(Sv)は、人体への影響の度合いを考慮した放射線量(浴びた量)を表します。飲料水や農産物から、放射性元素であるヨウ素131、セシウム137が微量ですが検出されたようです。それらは放射線を発生する能力(放射能)があるので単位はベクレルBqで表されます。ベクレルからシーベルト(実効線量)への変換を考えましょう。

以下、厚生労働省健康局の資料より引用します。(単位μSvについて加筆しました。)

原子力安全委員会が定めた飲食物制限に関する指標値

放射性ヨウ素(飲料水) 300Bq/kg

放射性セシウム(飲料水) 200Bq/kg

ベクレルとシーベルトの換算
(例1)200Bq の放射性セシウム 137 が検出された飲み水を 1kg 飲んだ場合の人体への影響は、

200Bq×0.000013(※)=0.0026mSvとなる。

(マイクロシーベルトでは、200Bq×0.013(※※)=2.6μSv)

(例2) 300Bq の放射性ヨウ素 131 が検出された飲み水を 1kg 飲んだ場合の人体への影響は、

300Bq×0.000022(※)=0.0066mSvとなる。

(マイクロシーベルトでは、300Bq×0.022(※※)=6.6μSv)

※ 実効線量係数(経口)(BqからmSvへの係数):放射能の単位であるベクレルから生態影響の単位であるシーベルトに換算 する係数。核種、化学形、摂取経路により放射線障害防止法などで規定。
(※※ BqからμSvへの係数)

以上引用終わり。

実効線量係数(経口)には、体内に取り込まれてから崩壊して消滅するまで、または体外に放出されるまでの時間による積分も含まれています。

ヨウ素131は半減期8日なので、身体に取り込んでも被曝は長く続きません。セシウム137は半減期30年ですが、身体の新陳代謝により3ヶ月毎に半分になって行くそうです。これを生物学的半減期と呼ぶのだそうです。そもそも半減期が長いという事は稀にしか放射線を出さないという事ですので、3ヶ月で半減するならば大量に取り込まない限り大して影響は無いということになります。これらの事も加味されて実効線量係数が決まっています。食べない飲まないに越した事はありませんが、現在の値でそれほど大騒ぎする事はありません。

そもそも、われわれの身体の中には常にカリウム40という放射性元素が存在し、それによる年間の被曝量は約0.2mSvだそうです。先ほどの例では、300Bqのヨウ素131を含んだ水を30L飲むのと同じぐらいです。

ところで変換公式に出てくる実効線量係数ですが、対象年齢などによっても異なるようです。

東大病院放射線治療チームのtwitterからの引用(ここでの変換係数値はBqからμSvへのものです。)
“@team_nakagawa: 放射性物質であるヨウ素I-131の「変換係数(μSv/Bq)」は、0歳で0.140、1〜6歳で0.075、7〜14歳で0.038、15〜19歳で0.025、大人で0.016です。ホウレンソウ中に観測された量は、最大1kgあたり15,020Bqでした。”

0歳の場合は係数が大人の約10倍。許容量は大人の約1/10ということになります。これに関しては、追記:シーベルト(Sv)は重量当たりの量も参考ください。

 

追記実効線量係数表 財団法人日本分析センターが運営している「日本の環境放射能と放射線」というホームページからの参照です。プルトニウムなどの係数もあります。

ちなみにキュリー(Ci)も放射能の単位です。1Ci=3.7×10^10Bqです。

(放射線の専門家ではありませんが、手元の放射線関係の資料やネットからできるだけ信頼のおけるデータを選択し参考にして作成しています。間違いなどありましたら気軽にお知らせください。虻川匡司)

 

 

「ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)」への25件のフィードバック

  1. こういうのもありました。ほぼ同じ事が書かれています。
    福島第1原発:放射性物質への対応策 Q&A
    すいませんリンク切れです。

  2.  ベクレルは毎秒の崩壊数のはず、Svに換算するのも毎秒にならないのか、すなわちSv/sではないのか。それとも毎時間(Sv/h)なのか、毎年(Sv/y)なのか、それとも50年積算なのか、良く分かりません。解説をお願いします。  

  3. おっしゃる通りBqは毎秒の崩壊数です。放射性核種が体内に取り込まれた場合、体内で崩壊して放射能を失う(核種の半減期に依存)、または体外へ排出される(生物学的半減期に依存)まで被曝し続けることになります。したがって、その時間を積分して、全被曝量を計算します。ですから係数の中にそれらが含まれておりまして、右辺は時間に関係のない被曝線量(シーベルト)になります。

  4. n-ishizaki 様のご質問と同じ質問をしようとしていました。
    abukawaさま、ご回答ありがとうございました。

  5. XXベクレルの要素が入った水の容器を1時間持っていた場合も被爆しますよね?
    あるいは、その水に入っていた場合。
    この場合の実効線量係数みないなのは、どうなるんでしょう?
    ぶっちゃけた話、何ベクレルの水なら、風呂に使用するのが危険なのか、どう調べても分かりません。

  6. 外部被曝の係数は私も分かりません。ベクレルからグレイに変換できればいいのですが、、、。ベクレルは崩壊数、グレイは吸収されるエネルギーなので崩壊したβ線やγ線のエネルギーが必要になります。
    半減期8日のヨウ素の実行線量計数を1時間あたりに直せば、だいたいのシーベルト毎時が分かるかなあ?
    ヨウ素の場合の係数を1時間あたりに直すと、0.022/((8日x24)/ln2)=8×10^-5となる。
    崩壊して出た放射線が全部身体に吸収されるとして10万ベクレルで8μSv/hかなあ?風呂の場合は多分身体には半分も当たらんとは思います。

  7. 係数計算についてわからない事があるので質問お願いします。
    ベクレルからシーベルトに換算する時、時間を積分して全被曝量を出すとの事なのですが、係数計算して場合(上記の計算方法)時間を積分する必要はないと言う事でしょうか?
    それは、例えばヨウ素だったら半減期8日間+残りの実数(何日で排出されるという定義のようなものがあるのなら日数はそれを元にするのでしょうか?)
    体外排出の事も考えるとこの日数全部と言うわけではないでしょうが、正しい情報が出ないのなら自分で計算方法を理解して自分でデータを元に計算して行くしかないと思います。
    私は素人に加え、ろくに学校も行ってない独学の無知ですが、足りない知能をフル回転させて考えますので教えて頂ければと思います。
    被曝は距離の二乗に反比例すると言う事ですが、近づいた場合(例えば細胞レベルの内部被曝)は放射性物質の本来持ってる能力以上の放射はしないと思うので単純にかけるだけでもないと思います。
    そういった事も含めて係数で計算すると出るのでしょうか?
    だとしますと、係数を使って内部被ばくのパーセンテージや実績の全被曝量を出せる係数はどのように設定されたものなのでしょうか?
    私の身の回りには専門的な人がいないので、こういう所で貴重な質問ができる事に心から感謝致します。

  8.  質問ありがとうございます。実効線量係数(経口)は、放射線物質を身体に取り入れてから完全に排出されるまで、または半減期で減少して完全にゼロになるまでの被曝線量の積分値(もちろん人間の寿命より長くは積分しませんが)を計算するものです。ヨウ素ならば半減期8日間の効果が係数に含まれています。ですから係数をかけて得られた実効線量をさらに積分したりする必要はありません。

    一般に半減期で減って行く量は、指数関数で表される量であり、半減期の数倍の時間で急速にゼロに近づきます。このような指数関数は積分可能であり、無限時間で積分しても収束して値を持ちます。例えば半減期T[h]の放射線物質から浴びる線量率が最初の時刻t=0で(Sv/h)initであったとします。この放射性物質から放射線を長時間(無限時間)浴びたときの積分線量値(Sv)totは以下のように計算できます。

    実効線量係数(経口)には、この積分による係数と、毎秒の崩壊数Bqから線量率(Sv/h)initを計算するための係数が含まれていると考えて下さい。
    少し加筆します。毎秒の崩壊数Bqから線量率Sv/hを計算するところに細胞レベルでの生物学的な影響など人体に対する影響が含まれているはずです。シーベルトという単位の定義を調べてもらうと分かると思うのですが、人体に対する影響を表す単位がシーベルトです。じゃあその係数はどうやって?ということになりますが、これ以上のことは私は専門家ではありませんのでわかりません。

  9. 丁寧に回答して頂いて本当にありがとうございます。
    正直、現在情報が錯そうしていて全ての情報に対し、まず初めに疑いから入り溶かしていくというような状態でして、ベクレルとシーベルトの定義は知っていたのですがそのような考えには至りませんでした。

    大まかな数値なのかも知れませんが、現在検知されている大気中の塵に含まれている放射性物質のベクレル数をシーベルトに係数換算する事で、その数値を指標に考えて予防する事にしたいと思います。

    現在、私は家族等に現状の話をして、できる限りの予防はしたいと話すのですがなかなか理解しあえません。
    ですが、千葉県の雨の日を見ましても400ベクレル/平方メートル以上の濃度が検知されているというのは安全とは言えません。

    私は素人でabukawa様の様な知識のある人に答えて頂けると本当に心の支えになります。
    また判らない事等ありましたら質問させて頂きますのでよろしくお願いします。

  10. セシウムで200Bq/kgという飲食物制限に関する指標値というのは事故等などの非常時の一時的な指標であることに、今更ながらに気づきました。セシウム200Bq/kgの水を1年間毎日飲んだら約1mSvの被曝になります。10年なら10mSvです。WHOの飲料水の基準が1Bq/Lと低いのは、平時に日常的に飲む水に対する基準だからのようです。1Bq/Lなら、100年飲み続けても被曝量は、0.5mSvです。

  11. 放射線医学総合研究所から出されている放射線被ばくに関する基礎知識第 6 報に、飲食物や呼吸によって体内に取り混まれた放射性物質による内部被曝についての計算例が載っています。経口摂取による実効線量係数だけではなく、吸入摂取による実効線量係数も載っていて比較的分かり易い記述になっています。是非参考にして下さい。

  12. 上で議論している線量は実効線量です。team nakagawaの放射性ヨウ素について(4/8まとめ)によるとヨウ素の場合は甲状腺の被曝が最も危険であるために甲状腺等価線量を使って議論すべき物のようです。甲状腺等価線量を計算する係数は乳児3.7μSv/Bq、大人0.44μSv/Bqと実効線量の値の約20倍になっております。

    実効線量係数と甲状腺等価線量係数は東大病院放射線治療チームの「放射能(Bq:ベクレル)」から「被ばく量(Sv:シーベルト)」 への変換について(pdf)を参照ください。

    実効線量は体全体で浴びる線量であり、等価線量は身体の組織ごと計算されます。甲状腺はヨウ素が集まり易いので等価線量が大きくなります。

  13. 質問です。1kgあたり3200ベクレルのセシウム137が、土壌から検出されました。
    これを呼吸で吸入した場合はどうなりますか?
    シーベルト換算は出来るのでしょうか?

  14. 畠山様。上の追記に書いた日本分析センターの実効線量計数表によるとCs137の吸入摂取の実効線量計数は6.7×10^-6(mSv/Bq)です。どのぐらい身体に入ったかが分かればシーベルトに換算できますが、吸入量は様々な要因によって人それぞれなので一概には言えないと思います。ただし、一度土に沈着したCsが気体となって漂う事は殆ど無いので、問題は土ぼこりの吸入や、土の付いた手で飲食することによる汚染だと思います。マスクや手洗いで防げると思います。

    おそらく土に対して非常に無頓着な人でも年間1kgの土を身体に取り込む事は無いでしょう。そうすると年間で最大でも、3200×1.3×10^-5=0.042mSvより大分少ない値になります。(経口の系数を使いました)

    稲の作付け制限が5000Bq/kgですので、1kgあたり3200ベクレルという値はそれほど高い値ではありません。いつもよりちょっと土ぼこりに注意すれば汚染は問題ないと思います。ただし、飲食物に関しては近所で取れた山菜や野菜等の汚染量の有無が不明な物は摂らないようにしたほうがよいでしょう。きちんと検査されて汚染の無いものを摂るようにしましょう。

  15. 内部被曝の危険性は、半減期の短いヨウ素は殆ど無くなり、半減期の長いセシウムに移ってきました。産総研の安全科学研究部門がセシウムの暫定基準値の根拠に関して記述しています。

    基準値の根拠を追う:放射性セシウムの暫定規制値のケース

    セシウムは実効線量換算系数の年齢による違いが少ないので(*)、牛乳や乳製品以外は、たくさん食べる大人の方が制限(kgあたりのBq値)が厳しくなるようです。例えば、野菜類は500Bq/kgが制限値ですが、大人に比べて食べる量が少ないので幼児の内部被曝は1/3程度です。

    暫定基準は、全ての飲食物からの内部被曝が一年間で5mSvを越えないように設定されています。全てが基準値ぎりぎりに汚染されているものを一年間飲食したとして内部被曝5mSvです。市場には、基準値以上の物は殆ど出回らないと思いますし、実際は基準値より相当低いものが殆どだと思います。ですから現状では飲食物から年間1mSvを越える内部被曝の可能性は少ないと思います。

    *ヨウ素は子供の甲状腺に集まり易いので甲状腺等価線量は子供の方がだいぶ大きい
    追記:セシウムの基準値には一定の割合で存在するストロンチウムの影響も織り込み済みです。ストロンチウムの検出が報告されていますが、セシウムの基準値を守れば、ストロンチウムの影響も問題ありません。

  16. 原子力委員会から5月24日に配布された資料「土壌問題とその対応」に土壌のCs137汚染濃度と空間線量率との相関のグラフが示されています。当然ですが空間線量の高い場所は土壌汚染も高くなっています。

    気になるのは相関図によると3.8μSv/hが約1000kBq/m^2に対応する事です。Bq/m^2は、だいたい20から50で割ると日本の基準Bq/kgに変換できるのですが、20で割ったとして50kBq/kgになります。セシウム50kBqを摂ると0.65mSvの内部被曝になります。前にも書いたように年間で1kgもの土を吸い込んだり食べてしまう人はいないと思いますが、注意は必要です。

  17. 内部被曝量は体重に反比例するはずなのに、セシウム内部被曝の実効線量系数が年齢によってほとんど変わらないのは、子供の方がセシウムを速く体外に排出するためでした。セシウムの場合、いわゆる生物学的半減期は1歳までは9日、9歳までは38日、30歳までは70日、50歳までは90日です。消費者庁「食品と放射能Q&A」(pdf)11ページに記載があります。

  18. 日本原子力学会の緊急シンポジウム資料(pdf)によると、現状での地面に沈着したセシウムからの外部被曝を100%とすると、舞い上がった土等の吸入による内部被曝量は2〜4%、幼児が外遊び等で土壌を摂取してしまう事による内部被曝は0.04から0.3%だそうです。外出や外遊びによる内部被曝の危険性は、外部被曝に比べるとだいぶ小さいようです。(飲食物からの摂取は別問題です。)

  19. 筑波大学ラジオアイソトープ総合センターによる「 福島県~首都圏土壌調査の分布マップ(Cs, Te, I)」のpdf資料。

    福島県だけではなく北関東にもわたる広い範囲での土壌調査結果をまとめた物です。3月29日時点でのTe129m、ヨウ素131、セシウム134、137の分布カラーマップがあります。

    ヨウ素131とセシウム137の比のマップは、3月15日の放出によるものと21日の放出による物の違い(半減期の短いヨウ素の減衰)を表している物と思われます。

    また、分布マップとアメダスによる雨量分布マップに高い相関がある事が分かります。

  20. 北里大学病院の放射線部のホームページにある「医療の中の放射線の知識」に放射線に関するいろいろな知識がまとめられています。医療被曝、胎児への影響、飛行機に乗ったときの被曝等が具体的な数値とともに示されています。

  21. 牛肉から基準値以上の放射性セシウムが検出されて大問題になっています。基準値(ベクレル/kg)は、一年間食べ続けると被曝料が1mSvを超える恐れがある値となっています。今回、残念ながら出回ったものを食べてしまった人もいる様ですが、1回や2回食べただけでは健康に全く影響はないと考えてよいでしょう。

    「内部被曝は外部被曝にくらべて何百倍も危険だ。内部被曝の場合は1μSvでも危険だ」と云う人がいるようですが、全くの誤解です。

    長時間体に留まるために内部被曝が危険と考えられる様ですが、ここの最初で説明したように、シーベルトに変換するときに体に留まっている時間も考慮されているので、シーベルトで表される放射線の危険性は外部被曝も内部被曝も同じです。内部被曝でも外部被曝でも、1μSvは同じ危険性を示すと考えてください。

    放射能で汚染された肉を、体の側に数時間置いた外部被曝の場合と、食べてしまった場合の内部被曝の場合は、危険性はもちろん内部被曝の方が非常に大きくなります。その危険性を評価する単位がシーベルトです。被爆線量をシーベルトで表すと、ちゃんと内部被曝の方が大きく評価されるのです。危険性は外部被曝、内部被曝にかかわらずシーベルトで判断すれば良いのです。

  22.  久しぶりにここにコメントします。
    シーベルトは外部被曝を表す量として認知されて、大多数の人が年間1mSvの外部被曝の基準値を受け入れているようです。

     内部被曝も同じシーベルトで評価すべきなのですが、食品に含まれる放射性物質の量がベクレルで表示されるているためか、ほとんどの人が内部被曝はベクレルで考えているようです。実効線量系数を使えば、ベクレルからシーベルトへの変換ができるのですが、それによって変換したシーベルト値(たいてい外部被曝より小さい)を外部被曝のときのシーベルト値とは別物と考える方も多いようです。「なぜなら、身体の中に入ったものだから」と。

     気持ちはわからないでも無いのですが、外部被曝でも内部被曝でもシーベルト値が同じであれば、同じ程度の影響があるということです。それがストロンチウムだろうがプルトニウムだろうが、セシウムだろうがカリウム40だろうが、影響のある部位等は異なると思いますが、シーベルトでの値が同じなら健康への影響はほぼ同じです。

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