放射線Q & A

素朴な疑問を少しまとめてみました。

Q.1 放射性物質、放射能、放射線は、インフルエンザウイルスのように増えますか?

A. 1 増えません。基本的には減って行く一方です。放射線を出す能力(放射能)は原子核そのものの性質です。通常、原子の数や種類は不変ですが、核反応(核分裂、核融合など)、核崩壊(α崩壊、β崩壊、γ崩壊、中性子崩壊など)によってのみ原子の数や種類が変わります。放射性物質は原子炉の中以外で増える事はまずありません。放射性物質から出た放射線によって周りの原子が放射化される(放射能を持つようになる)事もありますが、総量で増える事はありません。

Q.2 放射能をもつ原子1個は何回放射線を出すのですか?

A.2 複数の崩壊が連続して起こって複数の放射線を出す場合もありますが、基本的には1回です。放射能を持つ原子核を、かんしゃく玉に例えると分かり易いかもしれません。かんしゃく玉は、一度弾けるはじけるともう弾ける能力が無くなります。身体に害を及ぼすのは弾け飛ぶ時だけですので、かんしゃく玉が弾ける前に体外に排出されれば問題ないということになります。すでに弾けた後の残骸を身体に取り込んでも放射線は大丈夫です。

Q.3 半減期って何ですか?

A.3 放射能を持つ原子核の数が崩壊により半分になる時間です。A.2 で説明したように崩壊により放射能を持つ原子核はどんどん減って行きます。ここでもかんしゃく玉に例えましょう。はじめかんしゃく玉が1万個あったとします。かんしゃく玉のそれぞれについてサイコロを振って偶数の目が出た物は最初の10日の間に弾けることにしましょう。そうするとはじめ1万個あったかんしゃく玉は、10日後には5,000個ぐらいに半減します。半減期10日です。次に、残った5000個について同様にサイコロの操作を行うと、さらに10日後には2,500個ぐらいと、半減期ごとに半分になって行きます。それでは目の前に一個の放射性原子があったとしていつ崩壊するのでしょうか?確率は予測できますが、時刻を予測することは出来ません。神のみぞ知るです。

Q.4 ベクレルと放射性物質の量の関係は?

A.4 ベクレルという単位は放射能を持った原子核の毎秒の崩壊数を表します。放出される放射線の数であると同時に崩壊して減って行く放射性原子の数でもあります。例えばある放射性核種の毎秒の崩壊数(ベクレル)が分かる場合、この数をその放射性核種の半減期の期間積分したものが、最初にあった放射性核種の全原子個数の半分と一致します。半減期でなく1/eになる寿命(=半減期/ln2)を使うと、最初のベクレル値に寿命(秒)をかけた積がその放射性核種の全原子個数になります。

放射性物質の量と崩壊数(ベクレル)は比例します。物質の量が倍になれば、ベクレルの値も倍になります。

 

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