発生源が点とみなせれば、間違いなく放射線は距離の2乗に反比例して弱くなって行きます。では、地面に降り積もった放射性物質の場合はどうでしょうか?この場合も放射線量は地面からの距離(高さ)の2乗に反比例、すなわち地面に近づくほど2乗に反比例して強くなるのでしょうか?答えはNoです。(ただし、強くはなります。実際は検出器の大きさや指向性、空気による減衰によって変わります。追記を投稿しましたので参照ください。)
平面上に一様に広がった放射性物質による線量は、その面からの距離には殆ど依存しません。からくりは、遠くなった分だけ放射線がやってくる面積が増えるからです。例えば、片方の目をつむって真下を見て下さい。その見える範囲からやってくる放射線の影響を考えましょう。次にはしごに上って目の高さを先ほどの2倍にします、距離は2倍になったので強度は1/4になりますが、見える範囲が4倍になるので効果がキャンセルして前とほぼ同じ放射線強度になるのです。
身近な例では、点発光である豆電球と面発光である蛍光灯や液晶ディスプレイで確かめることが出来ます。豆電球で照らす場合はかなり近くから距離の2乗に反比例して暗くなりますが、蛍光灯や液晶ディスプレイの近くでは照らされた物体の明るさは距離を変えてもあまり暗くなりません。部屋を暗くして液晶ディスプレイを真っ白にして物を1cmぐらいにおいた場合と10cmにおいた場合で比べてみて下さい。
追記:大人も身長の低い子供も外部被曝による線量は同じであるでという主旨でしたが、β線の空気による減衰を考えると地面に近いほど危険であることが分かりました。また、地面に近いほど内部被曝の危険性も高くなります。ただし、空間線量率が低い地域ではどちらも気にする事はありません。土壌が汚染されれば、空間線量率も必ず上昇します。情報に注意していれば過度に心配なさらなくても大丈夫です。